「わたしのマンスリー日記」 第29回 人生の“聖火ランナー”

 前号の続きです。依頼原稿でしたので文字数に制限があり、十分な引用ができませんでした。読者の皆さんに是非読んでいただきたく次に全文掲載させていただきます。

ファンレターの全文

谷川さんへ
 この前は、『ALS 苦しみの壁を超えて』の本をくださり、誠にありがとうございました。
 遅ればせながら感想文を書かせていただきました。感想文を書くのは中学生以来ぶりなので少し緊張しておりますが、書き終えたあとに感想文というよりは、谷川さんに伝えたい思いで溢れてしまい、もはやファンレターになっておりました。(笑)
 ですので、谷川さんと、これまでいただいた谷川さんの本へのファンレターとしてお読みいただけると嬉しいです。
 まず、今回の本を読ませていただいたときに、ふと初めて谷川さんにお会いした時のことを思い出しました。第一印象は、目がとても輝いていて、これまで出会った患者さんの中でも格段に、目から力強い“生きるパワー”が溢れている方だと思いました。あの時、感動したことを今でも覚えています。
 また、ふとした時の優しい笑顔も、穏やかな本の表現も、本を読み進めていくにつれて、谷川さんが松本市で生まれ育ってきたなかで、ご両親から降り注がれてきた仏教のあたたかい心や考え方が、ふとした時に現れているのだと思いました。谷川さんからいただいた地名の本はどれもとても分かりやすくて面白く、何度も読み返しては家族や友人に話をしたり、実際に気になった池袋や地元の渡良瀬遊水地などは散策もしたのですが、ふとした時に優しい表現が入っているところがとても好きでした。
 特に私が「東京『地理・地名・地図』の謎」でお気に入りなのは、P38の「この巨木は第二次世界大戦の空襲で消失してしまったが、代々木二世が植えられ、明治神宮の森の中で今も未来を見守っている」といった一文です。
 この一文でも谷川さんの優しさや思いやり、そしてこれからの願いが込められているようで、とても胸に響きました。
 また、『全国水害地名をゆく』でも、谷川さんは水害のあった地域を否定するわけではなく、歴史を教訓に、これまでのその土地で生きてきた方々を尊重しながらも、自然と共存していくことの大切さを教えてくださいました。P71の「どんなに水害の危険にさらされようとも、そこに住むようになったのには必ず訳がある。それを探らずに一方的にネガティブキャンペーンを張ることには反対する」は本当にその通りだと思いました。私たちが日常を暮らしていくなかで、そこに住んでいる方々や土地からも恩恵を受けている可能性もあるのに、SNSなどでは敢えて相手を傷つけるような言葉や情報だけを選んでは、その土地や土地に住む方々を否定する文章を目にすることもあり、幾度となく胸が痛んできました。しかし、谷川さんのように人や自然も含めた相手への尊敬の気持ちを忘れず、温かい言葉で情報を伝えてくださる方がたくさん増えれば、思いやりのある情報で世の中が溢れかえり、自然も人々も穏やかな共存に向かっていけるのではないかと思いました。

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